2016年9月3日土曜日

京都市美術館 三浦景生染め-白寿の軌跡展

とっても秋らしい季節となりました。
気持ちが良い風が吹く京都から、展覧会のお知らせを致します。

京都の染色・工芸界の重鎮として永きにわたり活躍された作家、三浦景生さんの
作品が9月、京都市美術館に集結致します。

期間:2016年9月6日(火)- 2016年9月18日(日)
時間:午前9時〜午後5時まで(入場:午後4時半まで)
休館日:毎週月曜日
場所:京都市美術館
HP: http://www2.city.kyoto.lg.jp/bunshi/kmma/








彼の染色作品の多くは空を飛ぶ野菜がモチーフになっている。
空を飛ぶ野菜を描いた染色家は三浦氏以外にはいないであろう。
なぜ空飛ぶ野菜を描くかという問いに三浦氏は答えていないが、
私は、その野菜は浄土へ向かって飛んでいるのではないかと思う。
野菜はそれぞれ異なった表情をもって空を飛んでいる。
おそらくこの世に対するさまざまな思いを秘めて
浄土へ向かっているのであろう。

梅原猛

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三浦景生の模様世界は「あそびとかよろこび」にあふれている。
綿密な写生から本画への意表をつく軽妙な飛翔がある。
写生画から外形をまったく変えて本画がうまれ、
花や野菜などのモチーフの形象が、単純化、歪形化にもかかわらず、
端々しいリアリティをたたえている。

福本繁樹

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三浦さんが好んでモティーフにしたのは根菜類である。
例えば、「菜根譚」には、葱、唐辛子、大根、玉葱、子芋などが、
黒地に色あざやかにあらわされている。
注目すべきはそれらの発芽に関心が寄せられていることである。
三浦さんにとって自然を扱うことは、自然の生命にふれ、
その生成の過程に立ちあうことであり、従って野菜を扱っても、
その形よりも生成が中心的なテーマとなる。
かくして、普通の絵が自然のイメージを描写するのにたいし、
三浦さんは色と形の独自な構成によって、観者を生成する自然の
イメージの前に立たせる。
自然の現象よりも、自然の根源的な生命へ
それが彼自身のファンタジーの秘密である。

木村重信

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