2017年1月20日金曜日

〈展覧会情報〉澁谷和子展 in KYOTO






澁谷和子(1932 年生まれ)は、京都市立美術大学で小合友之助(1898 ~ 1966)と稲垣稔次郎(1902 ~ 1963)に染織を学んだ。まだ女性が大学へ進むことが当たり前ではなかった時代だ。学費を得るため在学中から西陣織の図案のアルバイトに携わり、1957 年に専攻科を修了後も染色を続ける一方、公募展などで作品を精力的に発表してきた。58 年に京展で市長賞、64 年には日展で特選を獲得するなど、早くから高い評価を受けた。
 優れた色彩感覚と洒脱な画面構成が持ち味で、花鳥をはじめとする具象から幾何学的な抽象まで幅広い題材を、熟達した型染めや蝋染めの技法で布の上に鮮やかに定着させる。素材にフックや紙を取り入れたり、陶芸も手掛けたりと、作風の多彩さにおいても他の追随を許さない。98 年に京都美術文化賞、2003 年には京都市芸術功労賞を受賞した。傘寿を過ぎた現在も表現への意欲は旺盛だ。
 60 年間を超える澁谷の創作活動から、代表作を紹介する展覧会を2 期に分けて開催する。今回は第1 期として1999 年までの作品を、国公立美術館の所蔵品も借り出して展観する。新進の染色家として頭角を現したころから円熟期に差し掛かるまでの優品の数々を通して、澁谷の作品世界を堪能していただきたい。
深萱真穂 (染・清流館キュレーター)


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PART-1 デビューから1999年までの作品群
澁谷和子展

日時:2017年1月12日(木)- 2月19日(日)
午前10時-午後5時(毎週月曜日休館)
場所:染・清流館
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