2015年12月8日火曜日

[スクーリング授業風景]染織III-4組織を織る(後半)/染織II-3腰機で帯を織る 

この秋に開講された染織コーススクーリングの様子をご紹介します。

a日程10月10日〜12日(担当 久田多恵)、b日程10月17日〜19日(担当 新田恭子)
京都の瓜生山キャンパスで開催されました。

 この授業は腰機(こしばた)を使って自分の帯を織る授業です。女性の浴衣帯は幅15センチ前後で長さは3.5メートル前後。男性の帯は幅10センチ前後で長さ4メートル前後です。幅や長さは好みで調節します。

 腰機は後帯機(こうたいばた)とも呼ばれ、自分の腰でたて糸に張力を与えて織り進めます。バックストラップウィーヴィングという言葉を聞いたことがある方もいると思いますが同じ意味です。

 織機というと部屋を占領するような大仕掛けのものを想像しますが、腰機は数本の棒があれば織ることができます。ただし、たて糸の張り具合を織りやすいようにキープしたり、よこ糸を通すための仕掛け(糸綜絖)を操作したり、一定の織り幅を保って耳や織り目を美しく整えるにはコツが必要です。織り手の体や手の動きがそのまま布の表情になるとも言えます。
 
 授業では色糸を5色まで選んでたて縞の帯をデザインし、整経(たて糸を作る作業)、腰機の仕掛け作り、織り出しまで行います。3日の授業が終了したら、後は自宅で織り進めて提出します。


色糸から2〜5色を選びます。縞にするには最低2色必要。
よこ糸はたて糸の色の中から1色選びます。

たて糸は150本。色の並びや太・細を工夫してデザインします。
手持ちの浴衣や自分で染めた絞り染の浴衣に合わせるのも楽しみです。

デザインが出来上がると整経です。
糸は糸玉からまっすぐ上に引き出すのがコツ。

2本の糸で綾を取る方法。

整経が終わるとたて縞の様子がよくわかって嬉しいですね。

教員による織のデモンストレーション。


織り進めます。
浮き織を入れる人もいます。

見覚えのある教室・・・NA201、202が織工房に!
長机にたて糸の端をクランプで固定しています。
(写真は2014年度の様子)
この方法のいいところは腰で引っ張るのと同時に足を踏ん張って
机を押すことでたて糸の張力を調整できることです。

続きを自宅で織るために、机以外の方法でたて糸を張る方法を紹介。
ドアノブや柱、階段やベランダの手すりなど、しっかり固定できる場所を探します。

 長い帯を織るには根気が必要です。また織り進める間にはトラブルが起こることもあります。原因をさぐって解決方法を考えます。もちろん染織研究室もいろいろな方法でサポートします。

 この課題を通して織物と機の基本的な構造を知り、帯の役割や装うことについて考えます。また自宅で織る工夫をし、自分の生活の中に織る時間を取り入れることを実践してもらうことも大きな目標です。織り終わる頃には糸の扱いと織物について、格段に理解が進むことでしょう。(久田多恵)